こんにちは。保険代理店サークルの菊地です。
今回のコラムは傷病手当金ガイドの後編です。インフルエンザやガンなど数日~数カ月のお休みが必要な病気にかかった際に知っておきたい傷病手当金について、前編後編の2回に分けて解説します。
前編では、傷病手当金の保障期間と金額、申請の手続き方法について解説していますので、ぜひご覧ください。
傷病手当金と有給休暇は併用できる?出産手当金は一緒に受け取れる?
有給休暇を使ったら傷病手当金は受け取れない
傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだときに、事業主から報酬が受けられない場合に支給されるものです。よって、有給休暇を使った日は傷病手当金を受給できません。ただし、待期の3日間については有給休暇を使ってもかまいません。もともと傷病手当金が免責になる期間だからです。
出産手当金やその他の手当金・給付などについて
出産手当金・老齢年金・労災保険の休業補償給付は、傷病手当金よりも優先して支給されます。つまり、原則として傷病手当金とは一緒に受け取れません。
ただし、出産手当金などの日額よりも傷病手当金の日額のほうが高い場合は、その差額分を傷病手当金で受け取れます。
万が一重複して受給した場合は傷病手当金を返金するよう請求されてしまいますので注意が必要です。
雇用保険の失業手当は一緒に受け取れる?
いわゆる失業手当と呼ばれる雇用保険の基本手当ですが、傷病手当金との併給はできません。そもそも雇用保険の基本手当を受け取るためには、働く意思と能力があることが受給の条件です。傷病手当金は労務不能であることが受給の条件ですから、相反する2つを一緒に受け取ることはできません。
1年6カ月たったら障害年金に該当するか確認を
傷病手当金の受け取りが終わってもまだ復職が難しい状態の場合は、障害年金の検討をおすすめします。
障害年金は、病気やケガが原因で日常生活を送るのに支障がある場合に受け取れます。具体的には、人工透析を受けている、人工肛門や人工膀胱を設置している、心臓や呼吸器などの内部疾患や精神疾患があるケースです。受け取れる金額は障害状態の程度によります。
ただし、障害年金が請求できるようになるのは、病気・ケガの初診日から1年6カ月が経過した障害認定日以降です。傷病手当金の受給期間が終わる頃に検討するのが良いでしょう。
ちなみに、障害年金は障害者手帳がなくても申請できます。障害者手帳は福祉法によるもので、手当金とは別の制度だからです。
収入をカバーする私的保険
最後に、傷病手当金のように収入をカバーする民間の保険についてご紹介します。公的保険とは別に自分で備える私的保険なので、傷病手当金と民間の保険金は一緒に受け取って問題ありません。
所得補償保険
所得補償保険は損害保険商品で、比較的短期間のリスクに備える1年更新の保険です。例えば、働き始めたばかりの人が、お給料が高くない最初の数年間だけケガや病気による収入ダウンに備えるのに向いています。
就業不能保険
就業不能保険は生命保険商品で、所得補償保険よりも長期間のリスクに備える長期契約の保険です。例えば、40代以降に病気やケガをすると、若い人よりも治療期間が長期になりがちです。扶養している家族がいれば、傷病手当金だけの収入では心もとないですし、貯蓄を取り崩すのもリスクです。そのような人が長期間安心して治療に専念するための備えに向いています。
勤務先の共済会などでグループ保険があれば安く入れる
上記の民間保険商品は、勤務先の共済会などで取り扱っている場合があります。グループ保険なら団体割引が効いて保険料が安くなる可能性がありますので、勤務先に確認してみるのをおすすめします。
最後に
傷病手当金ガイド後編をご覧いただきありがとうございました。
冬の時期は感染症リスクが高いので、インフルエンザや新型コロナが流行します。お医者さんからはおおよそ6日間の自宅療養を指示されますので、待期3日を除いた3日間だけでも傷病手当金を利用すればかなり生活の足しになるでしょう。会社に勤めている人は毎月のお給料から健康保険料をしっかり払っていますので、元を取るつもりで公的な保障を気軽に使ってほしいと思います。
公的な保障の存在や使い方は、自ら進んで情報収集しないと分からないことばかりです。サークルでは、公的な保障だけでなく保険商品やライフプランの個別相談を承っております。ホームページのお問い合わせまたはお電話で来店予約できますので、お気軽にご相談ください。