こんにちは。保険代理店サークルの菊地です。

今年も確定申告のシーズンとなりました。全国で確定申告をする人の数は毎年2,000万人を超えるそうです。

令和5年分の確定申告者数2,324万人*のうち、お金が戻ってくる還付申告をした人は1,350万人で、実に半数以上の人が納めすぎた所得税を取り戻しています。

今回のコラムは主に会社員などの給与所得者を対象に、確定申告でお金が戻ってくる仕組みと確定申告のやり方を分かりやすく解説します。

*出典:国税庁 令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について(報道発表資料)

年末調整と確定申告は所得税に関する手続き

日本で働く人は、1年間の所得が一定の額を超えると所得税を納めなければなりません。会社員やパート・アルバイトなど給与所得者の場合は、給与所得が年間103万円*を超えると所得税が給与天引きされます。
*国税庁タックスアンサーNo.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか

年末調整とは、給与天引きで納めすぎた所得税の還付を受けるための手続きのことで、税務署に行かなくても勤務先を通して完結できます。

確定申告とは、所得税の還付や納付を自分で行う手続きです。個人事業主やフリーランスの人は原則として確定申告で納税手続きを行います。会社員などの給与所得者は、勤務先の年末調整で手続きできなかった控除があれば、確定申告で還付手続きをすることで所得税の還付が受けられます。
*国税庁タックスアンサーNo.2030 還付申告

年末調整でできないこと、確定申告でできること

年末調整は、会社員などの給与所得者だけが勤務先を通してできる手続きです。毎年11月頃になると申告書を何枚も書いたり、勤務先のフォームに入力したりという記憶がある方も多いでしょう。この手続きを行うことで、所得税がかけられる給与所得の額(課税所得金額)や所得税そのものの額から一定額が控除されます。その結果、安くなった所得税の還付が受けられるのです。
*国税庁 給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分)>年末調整とは

年末調整でできる主な控除は以下の通りです。

年末調整で受けられる控除

  • 自分自身の控除:基礎控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除

  • 扶養家族がいると受けられる控除:扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、障害者控除

  • 支払ったお金に対する控除:生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済掛金控除、住宅ローン控除(2年目以降)

*参考:財務省 所得控除に関する資料


実はこのほかにもさまざまな種類の控除があります。全ての控除が年末調整で受けられる訳ではないので、以下のものはご自身で確定申告の還付手続きをする必要があります。

確定申告が必要な控除

  • ふるさと納税:ワンストップ特例制度を利用していれば確定申告は不要です。ただし、他の控除を利用するために確定申告の手続きを行うと、ワンストップ特例制度もキャンセルされてしまいますので、ふるさと納税の分もあわせて確定申告する必要があります。
    *国税庁タックスアンサーNo.1155 ふるさと納税(寄附金控除)


加えて、令和6年6月から行われた定額減税について、以下に当てはまる人は確定申告を行えば所得税の還付が受けられます。

  • 令和6年中に会社を辞めて退職金を受け取った人退職所得に対する定額減税は確定申告することで控除が受けられます。
  • 令和6年6月2日以降に会社を辞めて再就職していない人控除しきれない減税額が残ったまま年内に再就職しなかった人は、確定申告をすることで残りの控除が受けられます。

*参考:国税庁 令和6年分所得税の定額減税Q&A(概要・源泉所得税関係【令和6年 12 月改訂版】)


その他、個別に確定申告を行う必要があるケースは以下の通りです。

  • お給料の額面が2,000万円を超える人
  • 副業をしていて、その所得が20万円を超える人
  • 他の所得と損益通算する人

損益通算とは、給与所得とは別の所得があり、かつ、その別の所得に損失があった場合、給与所得(益金)と別の所得の損失(損金)を相殺することを指します。相殺できる損失の所得は事業所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得の4種類です。ただし、譲渡所得のうち上場株式の譲渡損失は相殺できません。
*国税庁タックスアンサーNo.2250 損益通算

還付金はいつ受け取れる?確定申告のやり方

確定申告は、税務署に書類を提出する方法のほか、スマホやパソコンを使ってオンラインで行うe-Taxからでも手続きができます。お金が戻ってくる還付申告をする場合は、書類手続きだと1カ月~1カ月半ほどかかりますが、e-Taxなら3週間程度でお金を受け取れますので*、e-Taxのほうをおすすめします。

*出典:国税庁 【税金の還付】Q41 還付金はどのくらいで還付されるのですか。

e-Taxはスマホでもパソコンでも利用できますが、事前準備としてe-Taxとマイナポータルの連携を済ませておく必要があります。マイナポータルの利用にはマイナンバーカードの用意が必要です。

確定申告の具体的な手続き方法については、国税庁がyoutubeで解説動画を公開しています。

スマホ申告 マイナンバーカードでe-Tax

パソコン申告 マイナンバーカードでe-Tax

その他、手続きや税制などについて分からないことはチャットボット(ふたば)Q&Aのページで調べられます。
国税庁の確定申告電話相談センターもありますので、不安があれば利用してみましょう。

最後に

令和6年分の確定申告期間は令和7年2月17日(月)~3月17日(月)です。年末調整で最低限の手続きが済んでしまう給与所得者にとって、確定申告はあまり身近ではないと思います。しかし、思わぬ病気やケガの出費や自然災害による損失があったときは、確定申告することで所得税の還付が受けられます。住民税や社会保険料の正しい算定にもつながりますので節税効果は大きいです。マイナポータル連携さえ済ませておけば手軽にe-Taxを使えますので、受けられそうな控除があれば気軽に確定申告をしてみてはいかがでしょうか。

サークルでは、病気やケガ、災害に役立つ保険の相談を承っております。ホームページのお問い合わせまたはお電話で来店予約できますので、お気軽にご相談ください。