こんにちは。保険代理店サークルの菊地です。

7月23日に厚生労働省が、2023年の日本人女性の死因第1位は老衰であると発表しました。

これまで日本人の死因第1位を長い間独占してきたのは『がん』です。
日本では平成18年に『がん対策基本法』が定められたおかげで、がんの死亡率は昔よりずっと下がりました。
逆に言えば、がんの生存率が上がったことで長く付き合う病気に変わったのです。

今回のコラムでは、令和時代のがん治療と最新のがん保険について分かりやすく解説します。 

*出典:厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 6ページ 4.死因分析

がんになるメカニズム

最初に、がんはどんな病気なのかを簡単に説明します。

人間の体はおよそ37兆個の細胞で構成されていて、常に細胞分裂を続けています。この細胞分裂の過程で生まれるがん細胞が、免疫細胞によって除去されずに増殖すると、悪性腫瘍と呼ばれる塊になります。

がん細胞は、正常な細胞と違って死なない細胞です。そのため、悪性腫瘍はずっと細胞分裂を繰り返して、周りの正常な細胞を壊していきます。これにより、周りの組織が圧迫されて痛くなったり、がん細胞に栄養を取られて組織が機能しなくなったりするのが『がん』という病気です。

がん細胞が生まれる原因は、遺伝子情報(DNA)のコピーミスです。コピーミスが起こる原因として代表的なものに、たばこやお酒が挙げられます。

しかし、誰もが避けて通れない原因があります。それが『老化』です。年を取るということは、古い細胞が新しい細胞にどんどん置き換わり、コピーを繰り返していくことです。老化によってコピーミスが蓄積され、免疫力が下がり、結果としてがん細胞が増えやすくなるのです。

令和のがん治療

日本では、がんにかかる人・がんで亡くなる人を減らす目的で『がん対策基本法』が定められています。この法令によって、がんの予防と早期発見にポイントが置かれるようになり、がんは不治の病ではなく治せる病気になりました。

がんの治療方法も、昔と今では次のような違いが見られます。

1.入院期間が短くなった

がんを早期発見できるようになったことから、入院期間は昔より短くなりました。平成8年時点の入院日数は1カ月以上ありましたが、令和2年時点では16日も短くなり19.6日となっています。

*出典:厚生労働省 患者調査の概況(平成8年~令和2年)をもとに作成

2.働きながら通院治療する

がん治療の入院期間は短くなりましたが、かわりに通院期間が長くなっています。昔より短期間で退院できるようになったものの、働きながら通院して長く付き合う病気に変わったのです。

働きながら通院している人の数を平成22年と令和4年で比較すると、男性で4.8万人、女性で11.5万人も増えています。

*出典:厚生労働省 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン 28ページ

3.治療方法が増えた

昔のがんの治療方法は、次に挙げる三大治療がメインでした。

  • 手術療法
  • 放射線療法(局所療法)
  • 抗がん剤などの薬物療法(全身療法)


医療技術が進んだ現在では、三大治療に加えて以下の治療方法も選択肢に加わりました。

  • 免疫療法:第4の治療法として注目されている
  • ゲノム医療:2019年から保険適用となった
  • 先進医療:重粒子線や陽子線など


4.緩和ケアは診断されたときからすぐ受けられる

昔の緩和ケアは、がんの終末期で治療の成果が見込めない患者が受けるイメージがありました。現在では、治療が始まった早いうちから緩和ケアを実施する取り組みが行われています。

*出典:国立がん研究センター がん情報サービス 緩和ケア 2.緩和ケアを支えるチーム

昔のがん保険をそのままにしていませんか?

これまでに見てきた通り、現在のがんは治療方法の選択肢が増えて、長く付き合う病気に変わっています。

よって、がんになったときにかかるお金も昔と今で大きく変わっています。がんの治療中はただでさえ肉体的にも精神的にも負担が大きいですから、お金の心配はしないで済むように備えておきたいものです。

保険会社の調査によると、がん保険に入っている人のうち約7割が、20年前のがん保険に入ったまま内容の確認や見直しをしていないそうです。20年前のがん治療に合わせたがん保険のままだと、現在のがん治療では保険金の支払い対象にならない恐れがあります。昔のがん保険に入ったきりという人は、ご自身の契約内容をチェックしてみることをおすすめします。

がん保険の見直しチェックポイント

  • 入院だけでなく通院も保障されていますか?
  • 先進医療・自由診療は保障されていますか?
  • 上皮内がんは保障されていますか?
  • 通院治療で減ってしまう収入に備えられますか?
  • 保障は一生涯続きますか?
  • 保険料はずっと変わらず同じ金額ですか?
  • 保険金の受取人は被保険者以外の人になっていませんか?


加えて特に確認しておきたいことは、一時金が受け取れる条件です。

昔のがん保険は、一時金を受け取れるのが保険期間中1回限りだったり、多くても2年に1回だったり、入院が必要であるなど厳しい条件であることが多いです。

最新のがん保険は、毎年一時金が受け取れたり、入院せずに通院治療だけでも受け取りの対象になったり、条件が緩くなっています。まとまったお金があると使い勝手が良いので、一時金が受け取れる条件もきちんと確認しておきましょう。

最後に

がんによるライフプランへの影響は、治療で増える支出はもちろんのこと、長い通院によって仕事を休んだり辞めざるを得なかったりして、収入が継続して減ってしまうことも深刻です。がんになった本人だけでなく、看病で支えてくれる家族の仕事にも影響があると、世帯収入が減ってしまいます。

サークルでは、ご加入中のがん保険や医療保険などの保障内容を確認するサービスを行っております。保険相談のほか家計相談も承っておりますので、他社でご加入中の保険であってもお気軽にご相談ください。